文書館のお知らせ
第2回歴史講演会を開催しました(御礼)
県立文書館では、3月1日(土)、講師に安宅俊介先生をお招きし、第2回歴史講演会を開催しました。
「廻船問屋と対立する人々 -近世新潟町の諸相ー」と題し、江戸から明治にかけて新潟町に暮らした人々の実態を、廻船や鮭漁に関わる多様な逸話を交えて、生き生きと紹介していただきました。当日寄せられたたくさんの感想と質問のうち、その一部を以下に紹介します。
≪質問≫ *安宅先生に回答していただきました。
「鳥屋野祭り(4月25日)の資料を閲覧したいのですが、ありますか。」
⇒残念ながら「鳥屋野祭」(鳥屋野詣り)について。新潟市歴史博物館には現物の史料の所蔵はありません。
例えば『新潟市合併町村の歴史 第4巻 (中蒲原郡から合併した町村の歴史 下 鳥屋野・石山・曽野木・両川・大江山)』552頁によれば「鳥屋野祭 25日。鳥屋野の親鸞聖人をまつる西方寺の鳥屋野祭は盛大なもので、近郷近在の人が大勢お参りした(以下略)」等と説明があります。
また『新潟新聞』事に短い記事ですが掲載があるようです。
例えば『新潟新聞』を集成した『新潟市合併町村の歴史 基礎史料集 4 (新潟新聞 明治編 下)』23頁に掲載された「雑報」に「◯鳥屋野祭 例年の通り今廿五日は親鸞上人の旧跡なる鳥屋野祭なれば天気の模様に依り定めて賑ふとなるべし」(明治27年4月25日)とあります(他『新潟市合併町村の歴史 基礎史料集 3 (新潟新聞 明治編 上)』613頁にも掲載あり)。
「町人の他に百姓はどれくらい住んでいたか。畑の広さ?作物?なども知りたい。」
⇒講座でお話した頃、江戸時代後半、新潟町で農業に専従していた人(あるいは小作人)が全体で何人いたのかという点はわかりませんでした。耕作地は、町域の信濃川の川べり、島などや、海側の浜と町の間(寄居側など)に点在していたようです。作物は、新潟町の史料のなかで頻繁に「田畑」という表現が出てくることから、少なくとも稲作、畑作は行っていたようです。畑については、例えば弘化3年の町内の三献茶屋というあたりの畑に関する史料(新潟町会所文書338、新潟市歴史博物館)があり、それによれば大豆が作られていたことがわかります。
信濃川側の耕作地については、たとえば弘化2年の「町方請島々野永取立帳」(町会所336)という史料があります。それによると「代官島」「水島」「榛木島」「秣島」などに合計約45町ほどの畑があったようです。この史料、末尾の文章(「右は町方請御願済之上私共小作ニ被仰付……(中略)御請証文差上申候処如件」)の後の差出人には「仁四郎」以下合計で35人の名前が記されています。このあたりの代表的な作物は梨だったようです。
また、たとえば嘉永元年から4年までの間に、寄居白山外新田内に新潟町(「新潟浜村」)所持の耕作地ができたようです(新潟奉行川村修就関係資料165、新潟市歴史博物館)。この史料によれば以前は耕作地だった荒地を再び起し返した耕作地が6町程、空き地だった場所を新たに開発した場所が18町程とあります。こちら側、川べりとは異なり海風による「飛砂害」、それによる埋没という難点がありました。このように耕作地は、時期によって増減があるようです。
また、特に浜手側には、天保3年に渋柿を植えようとしている史料(町会所315)や、あるいは飛砂害に対する「砂除」の一環で桑、楮、栗、桃などを植えようと計画した絵図などが残っています。
「幕末に開港した5港のうち、新潟が発展しなかった理由は。」
⇒新潟港は開港五港の中では貿易量が少ない所でした。港として水深が浅く、大型船は利用しづらかったこと、冬季に海が荒れることがありました。また大型船が利用可能な近代的な埠頭など、港湾整備も大正期まで待たなければなりませんでした。
この他、他の開港場所と比較した場合、貿易品(外国向けの有力商品、例えば生糸など)があまり無かったことが理由として挙げられるようです。
その後、現代に至る各都市の差異は長い時間をかけて、周辺の環境をはじめ無数の要因が大変複雑に関係した結果によって生じたものであると思いますので、少なくとも私には簡単に申し上げることができません。
(なお、現在の新潟市が発展しているか否かは、どういったことを尺度にするか、によって変わってくるものと思いますが、現在、本州日本海側唯一の政令都市であるという点から見れば、やはり開港五港の一つとなったことは、新潟市にとって大きなことだったのではないかと思っています。)
≪感想≫
・自分の育った地域がテーマで、先祖の生き様を知ることができて良かった。今後もこのような講演会をよろしくお願いします。
・新潟町は廻船の利益で繁盛していると、当時の人々が思っていたのが面白かった。先生の、「新潟は廻船ファーストの町」というフレーズが自分的には刺さりました!
・信濃川の流域の変化や、(それに伴う)堀、港の変化なども知りたい。
古文書輪読会を実施しました(御礼)
文書館では、古文書輪読会を開催しました。
月に1回のペースで計8回にわたって、江戸時代の日記を輪読しました。
(6・7・8・10・11・12・1・2月の計8回実施。)
古文書解読経験のある参加者同士で文字と内容を検討し合うことで、古文書解読能力の上達を目指しました。
今年度のテキストは、江戸時代の頸城郡田村組大庄屋を務めた笠原文右衛門の日記『公私日暦』でした。
*『公私日暦』(天保十年正月(請求記号 E2307-23))は閲覧できますので、機会がありましたら当館にぜひ足をお運びください!
【輪読会の様子】
受講者が自力で古文書を解読し、交代で発表し合いました。
江戸時代の村のあり方について、受講者と講師で「実態はこうだったのでは?」と意見が交わされ、活発な雰囲気でした。
【受講された方の感想(一部)】*遠方からもご参加いただき、ありがとうございました!
・江戸時代の大庄屋の実情、実態が良く分かってきて、とても勉強になりました。
読解は難しく、相当勉強しないと満足するレベルに達することはできないなと感じました。
「三人寄れば文殊の知恵」とすべく、グループ検討の場(班学習)の時間がもっとあれば良かったと思います。
・楽しく学んだ輪読会でした。考えたことを気軽に発言できることはとても良いことだと思います。
・月に2回でも良いです!
文書館講座を開催しました(御礼)
文書館講座を以下の日程で開催しました。今年度は、希望者多数のため、会場を大研修室からホールに急きょ変更して開催しました。(受講者の皆様におかれましては急な変更にご対応くださり、誠にありがとうございました。)
寄せられた感想のうち、一部ではありますが以下に紹介します。
当館では今後も様々な講座を開催してまいりますので、ぜひご参加ください。
≪期日≫ 令和7年1月29日(水)13:30~15:30
≪会場≫ 県立文書館1階ホール
≪演題≫「在来線からたどる新潟県鉄道のあゆみ」
講師:山沢拓見(県立文書館会計年度任用職員)
*感想の中から一部を紹介します。
鉄道にまつわる貴重な体験をお書きいただいた皆様、誠にありがとうございました。
今後の活動の参考にしてまいります。
「新潟県の鉄道の始めは新津だとばかり思っていました。直江津がなぜ最初のポイントになったのか、有力者の存在と地の利の良さが要因だと知り、納得がいきました。個人的に、羽越線は高校時代に通学で利用したので、成立のいきさつを知り、とても感慨深いものがあります。今回紹介されなかった他の路線についても機会があれば聴講したいと思います。ありがとうございました。」
「新潟の鉄道のことをとても楽しく学ばせていただきました。白新線の由来、納得しました。」
「米坂線や、赤谷線のことも聞きたいです。もし、今後機会があったらテーマにお願いしたいです。」
「通勤に信越線を利用しています。日常的に接している「モノ」である電車にも、日本の近代化にまつわる歴史があり、暮らしを豊かにしようとした有名無名の人々のドラマがあったのですね。そうした歴史の延長線上に今の私がいるのだなあと実感しました。今後は、少子化などで地方自治体の維持が難しくなる中で、廃止される路線も増えるのでしょう…。複雑な思いですが、では今の自分にできることは何かなあと考えるきっかけにもなりました。ありがとうございました。」
古文書初級解読講座(冬季)を開催しました
文書館では、古文書初級解読講座(冬季)を開催しました。(Aコース:12月11日・18日(水) Bコース:12月13日・20日(金))
今年度は、「近世越後の村休み」と題して、江戸時代の村で定められていた休日の謎に迫りました。
受講者の方から講師にたくさんの質問が寄せられ、活発な雰囲気の中で江戸時代の古文書について学びました。
ご参加いただきありがとうございました。
感想の一部を以下にご紹介しますのでご覧ください。
≪講座の様子≫
≪感想(一部)≫
・子供の頃、村落共同体が機能していて、20軒ばかりの農村集落だったので、農休日が決まっていた。年間で、一日の休みと半日休みが決まっていた。一日の休みは「坊主休み」といって村の相談で決めていた。その日は田畑で仕事をしないようにしていた。急きょ一日休みになるときは町内役の人が知らせに来て、村全体で休んだ(昭和32年頃の話)。そんなことを思い出しながら、今回のテキストを解読して楽しかった。
・村休みの類の文書は以前も目にしましたが、なぜなのかは分からずそんなものかと思っていましたが、江戸時代後期の豊かさが農村の働き方にも影響した結果と教えていただき、納得しました。ありがとうございました。
・まったくの初心者だったので、これからも機会を設けて勉強したい。歴史全般に興味があるのでもっともっと勉強の機会を持ちたい。高校の担任が書道の先生だったので昔のことを思い出しました。
マイクロフィルムリーダーが新しくなりました
*操作方法につきましては、当該職員までおたずねください。
~マイクロフィルムリーダーの事前予約が可能になりました~
(1)受付期間
・利用希望日の30日前から2開館日前の閉館時間まで
※30日前にあたる日が休館日の場合、窓口及び電話での受付は翌開館日から受付を開始します。
(2)受付方法
・窓口(閲覧室)
・電話 025-284-6011(開館時間中のみ)
・オンライン 新潟県電子申請システム
新潟県電子申請システム マイクロフィルムリーダー予約のページ (リンク)
※「新潟県電子申請システム」の利用者登録は不要です。
「利用者登録をせずに申し込む方はこちら」をクリックしてフォームに進んでください。
必ず注意事項をご確認ください。
(3)予約枠
・下記のとおりです。ご希望の枠を予約時にお伝えください。
・お一人につき1日1枠予約ができます。終了時刻の時点で次の利用が無い場合は、引き続き利用ができます。
A枠 9:30-12:00
B枠 12:10-14:40
C枠 14:50-16:50
D枠 17:00-19:00 ※D枠は、県立図書館のマイクロフィルムリーダーを利用(平日)
(4) 注意事項
・キャンセル待ちは受付しません。
・予約が確定しても、機器の故障等で利用ができない場合があります。
・機器の故障等で利用できない場合は、予約者に対して当館から速やかに連絡します。
・予約の時間に遅れられた場合でも終了時間の延長はできません。
・予約開始時刻を30分過ぎても来館されず連絡もない場合は、キャンセル扱いとして予約を解除します。
・利用時間の超過や、予約後の不使用等が続いた方については、予約受付をお断りすることがあります。
・来館当日に予約なしでも利用することができますが、事前予約が入っている場合は予約をされた方が優先となります。