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『「発見」という名の神秘』

 
第33回(平成25年度)
全国高校生読書体験記コンクール県優良賞
石田鑑さん(新潟県立高田北城高等学校)

「発見」。それは今まで知られていなかったものを、見つけだすことである。また、存在のわからなかったものを見出す、という意味もある。

新潟県立高田北城高等学校

新潟県立高田北城高等学校


私たちは普段、何気なく食べ物を食べ、運動し、睡眠をとる。これらのことは、生活のなかで毎日繰り返されているはずだ。しかし、私が読んだ本、「金曜日がおわらない」は、「繰り返すこと」に対してもつ考え方を変えた。


この本は、主人公の少年が、毎日毎日同じ金曜日を体験していく物語である。毎日同じ日が続くという奇想天外な出来事に少年は、いらだちながらも新しいことを見出し、少年自身が成長していく様子が描かれている。


物語では、少年が同じ時、同じ出来事を繰り返すことにより、今まで分からなかったことが、序々に見えてくる。私の実生活でも、そういうことは多々ある。


私は先日、あるアニメ映画を鑑賞した。私は今までにその映画を三回ほど観たことがあり、二年ぶりの鑑賞であった。そして、それを鑑賞し終えた後、私は感動したと同時に驚いた。以前、それを観たときの印象と、今回観たときの印象では全く違うのだ。


二年前に観たときは、登場人物のセリフを聞き、ストーリーの大筋をつかんだつもりだった。しかし、今回は、二年前に観たときには気が付かなかった、人物の言動や心情までもが読みとれたのだ。さらに、ストーリーの内容も、以前より濃密になっているようにも感じられた。一度観たことがある作品をもう一度観てみると、その物語のおもしろさが増すのは非常に興味深い。そしてもう一つ、このような体験に似たことがあった。


私が毎日、学校へ行くために通る道がある。そう、通学路だ。私は学校へ通うために自転車を利用している。朝は心地良く、やわらかな風が、急いで学校へ向かっている私を包み込み、下校時には美しい夕焼け空が、疲れている私の心をいやしてくれる。そんな素敵な通学路での出来事を紹介しよう。


私の通学路は、途中で堤防を通る。そしてその堤防を自転車で進んでいくと、様々な人たちとすれ違う。ウォーキングしている人、ランニングしている人、ベンチに腰かけて休憩している人など、ほとんどの人たちが自分で自分の時間を思いのまま過ごしている。私は毎朝同じ時間に家を出るため、堤防ですれ違う人は、ほとんど同じひとたちだ。そこの堤防を通り始めたころは、会釈の一つもしなかったが、今では顔見知りになって、あいさつは当たり前だ。空気がおいしい堤防で、さわやかなあいさつをすることにより、気持ちの良い一日のスタートがきれるのだ。


そして、私がもう一つ伝えたいこと。それは堤防の自然の素晴らしさである。堤防のすぐ隣には川があり、河川敷は自然に富んでいる。もちろん、魚や虫、鳥までもが、そこで生活を営んでいる。その周辺には、美しい緑色に染まった田んぼ、静かに雄々と大地に立つ木々。堤防から一望できる、空の色、雲の形、そして山々の稜線。私がどんなに悩んでいても、どんなに悲しんでいても、この壮大な景色には心を打たれる。元気をもらえる。今の私の心の中では、これら全てが大切な大切な宝物である。


私が堤防を通る人たちと仲良くなれたこと、そして感動的な景色に出会えたのは、「繰り返し」以外の何物でもないと思う。毎日、私が堤防で多くの人や物と出会い、いろいろな発見をしたことが、自らの成長につながった。


繰り返すこと。これがいかに大切か、重要なのかを読書を通して知ることができた。「金曜日がおわらない」にもあるように、主人公の少年は同じ出来事を毎日繰り返している。毎日同じことが繰り返されるなんておもしろくない。しかし、少年はその繰り返しの世界の中で、たくさんの発見をしている。最初はすっかり見過ごしていたいろんなこと、口に入れる食べ物、だれかの顔にあるさびしさ。毎日おんなじ日を過ごしていると、物事の違った面が見えてきて分かってくることがあるのだ。そして、それらは新しい気付き、感動、出会いであり、「発見」という二文字とイコールの関係で結ばれると私は思う。


この世界には分からないことや、解明されていないことが数多くある。しかし、一つ発見されれば、また別の問題が浮かび上がってくる。それはまるで、モグラたたきのようでもあり、「発見」とは未知の世界であり、それはすなわち無限大である。


これからも私の人生は続く。そのなかで、新しい「発見」はたくさんあるはずだ。しかし、発見しただけで終わらせたくはない。次の「発見」に向かう追究心をもち続けたい。「発見」の喜びや感動は、とてつもなく大きく、楽しいものなのだから。

 

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