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[第19話]幕府から表彰された孝婦ゆりの伝記

 

 江戸時代中頃の寛保2年(1742)、林鳳谷ほうこくにより『越後孝婦伝えちごこうふでん』という本が出版されました。その内容は、尼瀬(現出雲崎町)に住む大工作太夫の妻ゆりについての話です。ゆりは、夫の留守中に2人の子どもを育てながら、中風を患っていた姑を介抱していました。野山へ出て薪をとり、食事の支度をし、良いものは姑に勧めて自身は粗飯を食べていました。また、冬の寒いときには柴を焚いて寒気を防ぎ、夏の暑いときは木陰や浜辺へ連れて行って涼ませるなど、とにかく身を尽くして孝行していたそうです。そんなゆりの行為に感じ入った村人が、当時尼瀬を管理していた長岡藩へ報告したところ米5俵を賜り、さらに幕府からも白銀20枚を賜ったということです。



【越後孝婦伝】(請求記号E9111-377)

 ゆりは宝暦9年(1759)に49歳で没し、尼瀬の善勝寺に葬られました。その後善勝寺の境内には孝婦碑が建てられ、良寛もゆりの姿に感動して「孝婦の碑を読む」という詩を残しています。
 なお、著者の林鳳谷は8代将軍徳川吉宗に仕え、林羅山以降代々幕府の大学頭をつとめてきた林家の5代目にあたる儒学者です。父母への孝行は儒教の中でも特に重視されたことであったので、幕府が表彰したり、鳳谷がゆりの伝記を著したということは、儒教に基づく文治政治の推進には欠かせないことであったと考えられます。