新潟県立文書館では、平成28年9月14日(水)に、第3回文書館教養講座「100年前の新潟県-近代化の光と影を追う-」を開催しました。
講座の内容を概略で紹介します。
現在から100年前の1916(大正5)年は、第一次世界大戦に伴う大戦景気の恩恵により国内の経済規模は拡大していた。新潟県でも1915(大正4)年に定めた「産業に関する是」に従い産業振興に力点をおいており、基幹産業である農業に加えて、鉱工業が伸長し、総生産額にしめる鉱工業の比率が高まっていく契機ともなった時期であった。産業振興に力点が置かれた背景には、日露戦争後の戦後経営で指摘されていた太平洋側府県と比較した新潟県の後進性克服があった。明治後期にみられた県幹部の「大県から後進県へ」という新潟県に対する認識は、大正時代を通じて、昭和に入っても共有されていたといえ、産業振興とそれによる後進性の克服、新潟県の発展はこの100年間の新潟県の歩みの課題といってよいだろう。新潟県の産業振興の規模は日本海側随一であったが、太平洋側の府県に匹敵する規模には及ばなかった。大河津分水に代表されるインフラ整備は新潟県の産業振興に大きく貢献し、近代化故の事業であるが、後進性の問題は近代化のもたらした課題であったといえる。産業振興に力点をおいた県政は100年前の大正時代に本格化したといってよく、現在課題とされる「地域振興」についても、この歩みの中に様々な示唆があるのではないだろうか。その点で大正時代はもっと注目してよいのではないか。
参加者の感想の一部を紹介します。
◇大正時代は数分で語られてしまいがちですが、ここに着眼点をおかれ、切り口の良い内容でした。
◇大正時代から行政の政策は現在に通じている面を教えてもらい興味深かった。
第5回企画展を開催しています。詳しくはこちらをご覧ください。