[第11話]政治家坂口仁一郎と漢詩人阪口五峰

 新潟県が誇る作家坂口安吾。その父坂口仁一郎(にいちろう)は、明治から大正にかけて中央政界で活躍した政治家であるとともに、漢詩人阪口五峰(ごほう)としても大きな功績を残しています。

 政治家としての仁一郎は26歳で県会議員に当選し、県会議長も務めたのち、44歳で衆議院議員に当選して国政に進出します。彼は憲政会(けんせいかい)に属し、党務委員長などの要職も務め、加藤高明(かとうたかあき)や犬養毅(いぬかいつよし)などの首相経験者とも交流があり、多くの書状がそのことを物語っています。

犬養毅からの書状の画像
【犬養毅からの書状】(請求記号E9127-11)

 一方、漢詩人阪口五峰としての活動も盛んでした。特に、大正7年(1918)に刊行した『北越詩話(ほくえつしわ)』は、越後の文人達を詩業を通して紹介した大著であり、上杉謙信(うえすぎけんしん)や良寛(りょうかん)など1086人が収録されています。当館所蔵の『北越詩話』原稿は、政治家として多忙な日々を送りながら、同時に執筆もこなしていた五峰の凄(すご)さをうかがわせる資料であるといえます。

『北越詩話』の画像
『北越詩話』の原稿の画像

【『北越詩話』とその原稿】(原稿の請求記号F52)