〔第48回解読文・解説〕
解読文
解説
文久3(1863)年8月15日、国学者鈴木重胤が江戸本所小梅の自宅で暗殺されました。享年52歳。今回のテキストは、暗殺事件を新津の桂慎吾に急報した鈴木重胤の息子重兼の書状です。文中「勝左衛門」は重胤の通称です。
松平山城守の家来を語る侍2人が重胤に面会をもとめ、玄関先で談判中、にわかに刃傷に及び、重胤は数ヶ所の深手を負い、即死しました。一方、重兼も肩先から肘にかけて疵をうけましたが、命には別条ないと伝えています。
当時、幕府の内命をうけて廃帝の故事を調査したため、尊攘派志士に狙われたとの説が流布しましたが、現在では、これは根拠のないうわさで、暗殺事情は不明とされています。
参考文献:『国史大辞典』(吉川弘文館)「鈴木重胤」の項目
資料請求番号:E9103-1154-4