〔第42回解読文・解説〕
解読文
解説
今回のテキストは、長八の行き倒れ一件を羽下村へ知らせた新川郡十村(とむら)神保祐三郎の書状です。十村とは加賀藩で採用されていた農村支配の役職名で、他藩の大肝煎(大庄屋)に該当します。
村から村へ送られてきた長八が下立村を出たところで死んでしまったこと、これについて奉行の検死があったこと、死骸は下立村に仮埋めし、所持品は村役人が預かっていることなどを記したのち、まず、死骸などの請取人を要請しています。その上で、あるべきはずの往来証文が見当たらないこと、一緒に送られてくるはずの女房のりよがいまだに姿を見せないこと、この2点について疑問を呈しています。
なお、書状の中ほどで、今回の一件に関わる書物の写を6通同封すると記していますが、これら6通は受け取った羽下村の村役人家に保存され現在にいたっているのですが、第40回から第42回で使用したテキストがこのうちの3通にあたります。