〔第23回解読文・解説〕
解読文
解説
廣瀬村肝煎甚八が、困窮の余り百姓の数が減り、荒地が出来している状況について、会津藩の代官に対策を願い出たものです。
具体的には、(年貢未納等により)年季売りになっている百姓3人を請けだしたいから、金9両を貸してほしいこと、禿百姓(潰百姓、年貢未納・負債の累積・疾病・凶作などの災害によって破産した百姓、その地は村中で共同耕作し、年貢を負担した)を取りたてて田地を耕作させたいこと、この2点を願い出ています。
願書一般がそうですが、この願書を読んで感心するのは、ただ困ったから助けてくれといっていないことです。いつの時代も、一方的な要求は、なかなか通らないものですが、この文書では、まず、百姓が増えれば、取りたてられた禿百姓は喜ぶし、人数の増えた村も助かる、すなわち一挙両得であるとの理屈が展開されています。
また、夫食や農具は肝煎である私の才判(才覚)で支給するから、藩には面倒かけないとの断り書きも忘れていません。さらには、許されれば早速「山造」をさせて、年貢の足しにしたいとダメを押すあたりは、願書としては見事な展開と言ってよいと思います。
資料請求番号:CF20-178