[第13話]江戸時代のクールビズ・越後縮

 暑い夏を快適に過ごすために、現在様々な機能性衣料が作られていますが、越後には昔から夏にはぴったりの織物がありました。「越後縮」です。

 越後縮は、主に魚沼地方特産の麻織物です。江戸時代初期に、同地方の伝統的織物である「越後布」(平織の白麻布)から生まれました。特徴であるシボ(皺)が生み出す軽くさらりとした肌触りは、蒸し暑い日本の夏に最適で、元禄期には幕府の式服として指定され、最盛期の天明~文化期(1781~1817)には年間20万反も生産されたといいます。

 これほどまでに人気の越後縮は、当時から越後名物として様々な書物に書かれていました。中でも塩沢の縮仲買商・鈴木牧之すずきぼくしの著書『北越雪譜ほくえつせっぷ』(天保年間刊)は、縮の説明のほか、製造工程や縮市・機織りをする女性たちのエピソードなどを記しており、とても興味深いものとなっています。

 また、当館寄託の縮問屋の営業文書では、江戸後期~明治を中心に、当時の縮の流通や取引の一端をうかがい知ることができます。

 詳しく資料をごらんになりたい方は、ぜひ当館にお越しください。

「雪中晒縮図」の画像
【『北越雪譜』
「雪中晒縮図(せっちゅうちぢミをさらすづ)」】(請求記号E9111-29)
北魚沼郡小千谷町西脇(西新)家営業文書の画像
【北魚沼郡小千谷町西脇(西新)家営業文書】(請求記号F61)