〔第54回解読文・解説〕
解読文
解説
今回のテキストは、洪水で流された五十嶋村菊次郎の持船の返還をめぐる白河藩預所の小流村・馬下村(ともに現・五泉市)との争いにかかわる文書です。
流された船を取り押さえた川下の両村が、船の返還について過分の酒代を要求したことが問題になっています。命の次に大切な船を押さえられた菊次郎としては、足元を見られた格好です。また、訴訟となれば、遠く離れた会津若松へ、あるいは柏崎へ、仕事を休んで出向かなければならず、その損失は重大です。そのため、今までは、仕方なく法外の金子の支払いを呑んできたと五十嶋村肝煎の渡部民吉は述べています。
ただ、訴訟になって困るのは、五十嶋村ばかりではありません。30里もはなれた白河藩の柏崎陣屋の支配をうける小流村・馬下村も同じです、今回のケースは、柏崎陣屋に出向くことの難儀、しかも御咎めを受ける心配があることから、逆に小流・馬下両村の側が折れています。
前回同様、河川交通や舟をめぐるトラブルの処理が具体的にうかがえ、興味深いものです。
資料請求番号:CF16-13-15