〔第52回解読文・解説〕
解読文
解説
寺沢村は、現在の五泉市の市街地にあたります。江戸時代において、長く奥州白河藩領だった村です。
内容は、水死人定吉の兄忠七が、弟の遺品7品を確かに受け取ったというものです。定吉は難船か何かで水死したものと思われますが、宛名が五十嶋村肝煎所(渡部家のこと)とありますから、事故は五十嶋村地内で起こったものと推測できます。
遺品7品は、実際に身につけていた衣服と携行品でしょうか。浅黄は「うすあお」色。浴衣は「夏の単(ひとえ)」。袷は裏地のついている衣服で、近世では陰暦4月1日から5月4日まで、9月1日から8日まで着る慣わしでした。文書の日付が「5月」ですので、事故当時の服装として適当です。