〔第35回解読文・解説〕

解読文

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解説

天保14年(1843)、老中水野忠邦の命により、新潟町は長岡藩から上知され、幕府直轄領として新潟奉行が置かれました。初代奉行には、河村修就が任命されていますが、安政6年(1859)段階では、5代目奉行として古山善一郎が職にありました。

外国奉行の新潟下向とは、より具体的には、この新潟奉行と連携をとって外国船入港に対処しようとするものであったと理解されます。

今回のテキストは、殿様=溝口直清の新潟下向に関する池端代官堀川才吉の手控えの一部です。内容は、池端陣屋が新潟奉行所広間役(奉行所の職階の一つ。奉行、組頭の下)に対して、殿様の先触れが到着したらすぐに知らせてくれるように依頼したものです。殿様下向に関わる下準備の具体的なひとこまが観察され、興味深い文書です。

江戸を出発する日時にくらべ、新潟への到着の日時は、当時の交通事情を勘案した場合、行く側も、受け入れる側もふたを開けてみないと正確には分からないというのが実態だったと推測されます。逆に言えば、そうであるがゆえに、到着日時に関する情報収集は極めて重要度の高い仕事であったともいえるでしょう。

資料請求番号:E9916-1661