〔第25回解読文・解説〕
解読文
解説
廣瀬村の甚之丞が、同村肝煎甚八郎に対して認めた詫状です。
八田蟹村ほか3ヶ村の肝煎を仲介として、甚八郎に対して「悪言」を吐いたこと、さらに日ごろの行いが悪かったことを詫び、今後行いを改めることを誓約しています。
詫状に見られる謝るべき事実としては、打擲・傷害・窃盗・博打に始まり、親不孝・農業不精・口論・悪口雑言・金子借用の上身持ち不埒・高声にての騒ぎ・夜中までの飲食・他家への乱入・家出・不奉公・地所明渡しの延引・隠し鉄砲打ち・田地踏込み・隣村との境界木の伐取り・無断に村役人として印形の押印・材木の無断伐採・同じく津出し・無断の草刈り・無断の祭礼行事などがあげられます。
今回謝罪している事実の一つにも「悪言」が含まれていますが、もう一つ、「人の幸せを嫉み、不幸を喜ぶ」甚之丞の心根が問題になっている点は、詫状の事例として興味深いものと思われます。村人にとって甚之丞は日常的に相当のストレスになっていたようですが、具体的にどんなことが積み重なっていたのでしょうか。ぜひ知りたいところですが、具体的記述に乏しいのが詫状の常。これ以上の詮索はかなわないようです。
資料請求番号:CF20-729