〔第13回解読文・解説〕

解読文

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解説

家族に黙って江戸に登った常野が母に宛てた手紙(書状)です。常野は、天保10年(1839)10月には江戸についています。

女性の手紙ですので、ほとんどかな文字で書かれています。現在のひらがなとは違う変体がなも多く使われていますので、慣れない方には難しかったかもしれません。

大雑把に常野の近況を読み取ってみると、

・12月16日から銀座の大旦那が京のげいこを囲うために住吉町に新築した屋敷で奉公し、小間使いや縫い物の仕事をしていること

・食べ物はうまいものばかり食べ、また小遣いもたくさん貰っており、まずは不自由のない生活であること

・ただ、9月に高田を出た時の着物しかなく、寒い思いばかりしていること

などが読み取れます。

ともかく無事であったことに一安心ですが、故郷へ帰る気持ちは読み取れません。

このあと、常野は「おきん」と名を改め、蒲生田村(上越市頚城区)出身の井澤博輔と結婚します。常野にとっては3度目の結婚になります。博輔は旗本屋敷などで奉公をしていたようですが、時に浪人し、生活は必ずしも安定していなかったようです。第9回で読んだ天保15年(1844)の離縁状は、両名がそんな生活のどん底にあったときに認められたものですので、もう一度読んでみてください。

資料請求番号:E9806-1699