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[第35話]楽器税新設顛末 ~昭和初期の財政再建とピアノ調査~

 

昭和初期の県財政は、長引く経済不況による税収入の停滞、県債高増加、豪雪による災害の復旧費など逼迫ひっぱくの一途を辿たどりました。


昭和9年(1934)6月、当時の千葉知事は臨時財政調査会を設置、財政再建対策の検討にとりかかります。その中で、楽器税等が発案され、同年10月に県内のピアノ・電気蓄音器・蓄音器の家庭での保有台数調査を行います。この調査に基づきピアノ141台、電気蓄音器275台、蓄音器39,108台の集計結果が出され、楽器税が創設されます。当時の木村長岡市長は「実施調査、すこぶル困難ニテ確数ヲ得サルニ依リ概数調査ノ上回答候也」と記し、ピアノ調査の困難さを訴えています。


さらに同年11月11日付の新潟新聞には「蓄音器課税に断固反対を絶叫!蓄音器課税は家庭の娯楽を破壊し児童学習上に及ぼす支障大なると認め、これに絶対反対す」と同業者による強い抗議記事が掲載されました。一方、新税創設の理由書には「楽器ヲ所持スルハ主トシテ娯楽供用ノ目的ニ外ナラズ之ヲ有スル者ハ其ノ所有ナキ者ニ比スレバ担税たんぜい力、アリトス。まさニ本県ハ連年県債相継キ財政窮迫急ヲ告ゲ、恒久的財源ヲ供スルハ最モ当ナルヲ認メ楽器税ヲ設定シタル所以ゆえんナリ」とあります。


また、昭和10年(1935)12月の通常県会質疑において、総務部長は「楽器税は恒久財源を得る上でむを得ず起こすものであり、財政調査会の慎重に考究した結果に基づいたものであるから、どうか真意を十分に諒解りょうかい願いたい」と答弁をしています。


 翌11年(1936)3月、内務省から5年間の新税許可がおり、年税額ピアノ10円、電気蓄音器3円、蓄音器1円(朱書訂正50銭)と定められ、県予算約1,600万円に対し、2万円の増収をみます。しかし、楽器税は歳入増加の効果を果たせず、むしろ深刻な財政難を浮き彫りにし、財政再建の困難さを県民に印象づける結果となりました。長引く不況下での財政再建の困難さは時代を問いません。県の歩みを記す公文書は、当時の労苦を私たちに伝えてくれます。



【通常県会関係書類 ピアノ等調査(請求記号H92総財 428)】

 
【楽器税収入基礎ニ関スル調(請求記号H92総財 452)】