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「ごめんなさい」そして「ありがとう」

 
第30回(平成22年度)
全国高校生読書体験記コンクール入選
山縣香奈さん(新潟県立新潟高等学校)

「マキちゃん、ごめんなさい。」
『受験のシンデレラ』を読み終わったとき、私はこの本の主人公マキちゃんにそう言いたいと思っていた。マキちゃんは、恵まれていない。彼女の両親は離婚し、彼女は今、働かずに遊びまわっている母親の代わりに生活費を稼いでいる。高校には通えず、毎日アルバイトと家事をこなしているのだ。勉強はしていないが、彼女は頭の悪い子ではない。「このまま一生、みじめな生活をするのかな。」と自分の置かれている状況を理解している。また、彼女は抜群の計数感覚を持っていた。品物をまとめて買わずに、一つずつ買うと安くなるということに瞬時に気づくような子だったのだ。

新潟県立新潟高等学校

新潟県立新潟高等学校


貧しいけれど、毎日一生懸命に生活しているマキちゃん。彼女と比べると、私は一体どうなのだろうか。


マキちゃんと私を比べると、二人の違いは「持っているもの」の量だと思った。つまり、「持っているもの」はほとんど同じでも、その量が違っているということだ。私たち二人が「持っているもの」は三つある。多分、私だけでなく、みんなが持っている。


一つ目の「持っているもの」は、「素直さ」である。マキちゃんは、突然「東大を目指せ。勉強しろ。」と初対面の人に言われて、勉強をする素直さを持っている。私なら、突然そんなことを言われたら、疑ってしまう。「新種の詐欺だろうか。」と思い、警戒してしまうだろう。やはり、私とマキちゃんでは素直さの程度が違う。


二つ目は、「努力」の量である。マキちゃんは、家事をし、アルバイトをし、勉強をしている。一日のうち無駄にしている時間はほとんどない。毎日、時間を有効に使っている。一方、私は時間を上手く使えていない。一日のうち、何をしていたか思い出せないような時間がある。また、私は家事をしたり、アルバイトをしたりしていないのに、マキちゃんほど勉強していない。勉強する時間があるのに、その時間を有効活用していないのだ。「もったいないなぁ。」家事が上手で、節約上手のマキちゃんは、たぶん私にそう言うだろう。そんなことを考えると、私はマキちゃんに対して申し訳なく思う。同時に、恥ずかしく思う。恵まれた環境にいることを生かせてなくて、恥ずかしい。


三つ目の「持っているもの」は、「希望」である。「希望」はすべての人が持っていて、成功するために最も大切なものだと思う。希望がなければ成功できない。マキちゃんは、希望を持ち続けた。「絶対に大丈夫。」そう信じて、大きな希望を持っていた。だから、マキちゃんは成功した。私はどうだろうか。もちろん、希望は持っている。でも、どのくらいの大きさの希望だろうか。マキちゃんより大きいだろうか。希望は「素直さ」や「努力」と違って感じることが難しい。そこで、私は「希望」を別の言葉に言い換えてみる。「私は大きな「夢」を持っているだろうか。」と。答えは、「持っている」である。夢や希望の大きさは人と比べるべきでない。自分の基準で考えるべきだと思う。だから、私は自信を持ってこう言いたい。「私は大きな夢を持っている」


ここまで、私とマキちゃんを比べたり、比べなかったりしてきた。私たち二人は同じものを持っていた。でも、マキちゃんの方が私よりたくさんのものを持っていた。


また、私は改めて自分の生活を振り返った。高校に通い、部活をし、勉強をする時間を持っている。今まで、当たり前だと思っていたことは、実は恵まれたことだったと気付いた。


この本を読んで、私は様々なことを考え、多くのことに気付いた。まず、恵まれた環境に感謝しなければならないと思った。当たり前なことはないと自覚し、それに感謝しなければならない。次に、自分の「持っているもの」が少なく、もっと増やしたいと思った。人の声に耳を傾ける「素直さ」や自分を高めるための「努力」をもっと大きく、増やしていきたい。


最初に、私は冒頭で、「マキちゃん、ごめんなさい。」
と言ったことを少し後悔している。確かに、マキちゃんに対する申し訳なさはある。でも、今はマキちゃんに対する感謝の気持ちの方が大きい。彼女は私に多くのことを考えさせ、気づかせてくれた。今、私はこう言いたい。
「マキちゃん、ありがとう。」

 

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