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「先生へ」

 
第30回(平成22年度)
全国高校生読書体験記コンクール入選
久保田萌子さん(私立日本海聖高等学校)

学校は「勉強」を学ぶ場所であるが、「人」を学ぶ場所でもある。「授業を受ける為だけの場所」と割り切って登校する者ばかりなら、通信教育や自宅学習スタイルをとっても良いのだから。

私立日本海聖高等学校

私立日本海聖高等学校


私は九年間の義務教育を終え、あと数ヶ月で高校生活も卒業を迎えようとしている。小学校から数えれば十二年、学校を通じて仲良くなった友達や後輩、お世話になった先生は沢山いるけれど、今現在も交流がある友達は片手で数えるほどしかおらず、況して先生となると卒業以来の関係になってしまうのだ。それでも当時は、卒業すれば会う事の無い友達と喧嘩をしたり、卒業すれば会う事の無い教師に叱られたりする。この本を読み終えた時、改めて「学校で出会う人」について考えさせられた。それから、その存在がいかに大きいのかも、そして、私の居場所についても考えさせられた。


学校で出会う人が自分にとってどれだけ大きな存在であるか。例えば、小学五年生になった私の弟は、今の担任の先生のご指導のおかげで字を丁寧に書くようになり、毎日日記も書くようになった。私の妹は、担任の先生が変わるごとに、成績が上下に変化している。自分が関わる人が誰かによって自分が変わって行くのだ。私も、高校生になり、今の担任の先生と出会ってからは性格が変わったと思う。中学時代まではマイナス思考で引きこもりだったが、現在は、先生が優しい声で私の名前を呼んだり、先生が黒板の隅に日直の私の苗字を書くだけで嬉しくなったりする。先生の優しさのおかげで、私は今まで嫌いだった学校も好きになれたし、私は学校での自分の居場所を見つける事が出来た。


小説の中に出て来る野口くんは、村内先生と出会っていれば変わっていたのかも知れない。村内先生によって園部くんの考えや言葉が変わったように、野口くんにも学校での居場所が見つけられたかも知れない。


居場所を見つけられた私は、今この場所を大切にしたいと思う。三月の卒業式で、先生に「久保田の担任が自分で良かった」と思ってもらえるように、私はこの場所を大切にしたい。沢山、頑張りたい。


高校三年生の始業式、私は先生にこんな手紙を渡した。「先生へ


高校三年生になった私から、先生に三つの事を約束します。なので、この手紙は、私が約束を果たして卒業式を迎えるまで、捨てないで持っていて下さい。


一つ目の約束は、負けない事です。私は小さい出来事で傷ついたり、いつまでも過去を引きずったり、自分でも嫌になるような癖がいくつかあります。授業中に訳も分からず泣きたくなる時があるし、理由も無いのに早退したくなります。一、二年生の時、それで早退した事が何回かありました。でも早退して家に着いてみると、「どうして耐えられない自分がいるんだろう」と自分を責めます。そして自己嫌悪の渦の中で膝を抱えます。私の味方は沢山いるんだし、もう高校三年生になったので、弱さに負けてしまう自分に負けたくないです。もう、負けません。


二つ目は、自分を傷つけない事です。私は他者を同情出来ても、自分を同情する事が出来ませんでした。私は自分を守ってやるのがとても下手クソです。だから熱が出てもテスト勉強を優先させるし、吐き気があっても学校へ行くし、体育の授業にも出席するし、平気で自分を傷つける行為も出来ました。でも、「自分」も、一人の「人間」なのだと考えた時、「自分」は、私が生涯で一番長く付き合って行く「人間」であるから、もう傷つけたくないと思いました。それは、先生に出会ってから思いました。こんな、どうしようもない私の事を、見捨てる事なく、いつも見ていてくれる先生がいるから、そう思えました。


そして、最後に、三つ目の約束です。


先生、私は、生きる事を約束します。」

 

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