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「私と山椒魚」

 
第32回(平成24年度))
全国高校生読書体験記コンクール県入選
樋口早恵さん(私立新潟清心女子高等学校)

私が井伏鱒二さんの「山椒魚」という作品と出会ったのは高一の冬ぐらいの時でした。わたしはダンス部に入っていて来年の創作のテーマを部員のみんなと考えていたところ、顧問の先生に、「次はこの作品でいく。」と紹介されたのが始まりでした。それからこの本を買って初めは十五ページという短いお話であまり内容がつかめませんでした。でも創作ダンスは心情表現が大切なため何回も読んで山椒魚の気持ちになって考えてみました。

私立新潟清心女子高等学校

私立新潟清心女子高等学校


山椒魚はえびをおどかしてみたり、かえるを自分の家に閉じこめたり少しいじわるな所もあって、でもそれは二年ものあいだ自分のすみかにいて出られなくなって、おいつめられての結果だったんだなと読み込む内に分かるようになりました。わたしたちが表現した山椒魚というのは、とにかく出たくて出たくてしょうがないという山椒魚の心情でした。もちろんでたくて苦しみ、もがいている様子を表さなくてはいけないので、真顔で踊るということでもない顔で踊りで体全体を作って表現をするというのは創作二年目のわたしにはとても難しいものでした。踊りは踊っている自分たちだけ感情をだしてもみてくれる人に届かなければ意味がなく、みてくれる人も山椒魚の心情にならなければ駄目だといわれてすごく悩みました。鏡の前で出たいという動きを研究したり泣きそうな顔の練習をしたりうまく出来ない自分が嫌で踊るのやだなぁと思うこともありました。その中でこの山椒魚の出たいという気持ちはいまの私達と同じ境遇なんだなと思うようになりました。私たちは今自分の将来のことや人間関係など日々いろんな事に悩んでいます。その悩んでいる苦しみが山椒魚の出たいという気持ちと同じなんだと自分なりに納得することができました。それからは表情や表現もまだまだだけど日々少しずつ深めていくことが出来るようになりました。やはり表現というものは自分が経験しないとよく分からないもので、経験することでもっともっと深めていけるものなんだということが分かりました。


大会の近くでは毎回山椒魚の心情になり本当に悲しいと思うぐらい感情移入する時もありました。たぶん大会前で緊張していたり、先輩方の引退が悲しいというのも重なって表現していたと思うけど本当に悲しいという時がありました。大会の時は本当に悲しくて泣きながらの通しでした。いつもの通しとは比べ物にならないぐらい一瞬で終わって自分がとても集中していたことをしりました。その半面これを練習の時から出せてればもっといいものができるのかなと思いました。この時踊りには気持ちが大切といっていた意味がよくわかりました。


私はこの本を読んでからいろいろな気持ちを深く知ることができたんではないかと思います。初めは短いお話としか思ってなかったのがこんなに真剣になれるんだなぁと思い知らされました。この本を読んだことで学んだことは本は長い短いや内容にかかわらず、うけとめる側がどれだけ真剣にその本と向き合うかなんだなというのが分かりました。


私はこの本に出会って半年以上深くよみこむことができたし、この本に出会う機会を得られた創作ダンスに感謝したいです。

 

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