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灯台もと暗し

 
第39回(令和元年度)
全国高校生読書体験記コンクール県入選
小林紗也さん(私立新潟清心女子高等学校)

 私はすごく不器用だ。自分の気持ちを表現することや周りの気持ちに気づくことはとても難しい。誰にでも悪意はないのに食い違いが起こる。相手のことを考えすぎてもうまくいかないし、自分に正直になると傷つけるし、この世界では人との関わりの中ですれ違いが起こりたくさんのトラブルが引き起こされる。トラブルが起こりいつも思うことがある。あの時こうしておけばよかった、もっと上手に伝えていればよかったと悲しさと後悔で過去に戻りたいと願うこと。多くの人がこのような感情になったことがあるでしょう。
 過去に戻ればすべてうまくいくという考えを覆した本が「流星ワゴン」です。この本はドラマ化されていて知りました。リストラされた上に家庭崩壊していて人生に自暴自棄になっていた主人公は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。ワゴンで共に旅をしていく中でこれまでの人生の岐路になった場所へ行き人生を考え直していく物語である。主人公はいくつもの過去の分岐点に戻り、妻と息子が悩みをかかえてることに気づいた。そして必死に状況を変えようと努力した。しかし過去に戻ってもうまく人生を変えられず、それでもあきらめずに家族を助けようとした。この場面で過去に戻っても変えられない現実がリアルでとても切なかった。しかし過去が変わらなくても主人公は大きな発見をした。家族崩壊した家族には悩みを抱えていて向き合えていなかったこと。その場面でこの旅は過去をやり直しているのではなく、自分を変える旅ということに気づいた。そして過去は変わらず同じ現実でも、旅をした中で主人公は妻と息子に伝えられなかった言葉を不器用ながら伝えている。過去に戻っても現実は変わらなかったが主人公自身が変わって今まで出来なかったことをしていてすごく勇気づけられました。私は過去に戻るというのは後悔を消し、幸せな未来にしていくという考えを持っていたので現実が思うように変わらない物語で悲しかったけれど楽な方法はなくて自分が変わるということが大事だと気づかされました。主人公はこの旅の中で変えられたことは一つもなかった。しかし現実に戻って主人公の気持ちの向き方が変わって最後は家族が一つにまとまり感動した。このことから、やり直しをしても現実世界への反映はさせないというこの作品から、現実の厳しさを思い知らされた。
 私はこの本を読んで家族を大切にしたいと思いました。思い返せば家族に当ったり、思っている事の反対を言ってしまったりして誰よりも大切にしてくれる家族に一番冷たくなっていました。でも「流星ワゴン」で家族というのは当たり前ではないということに気付きました。後悔をせずに生きるというのは難しいけれどその時々で最善を尽くし向き合っていくことが大事、そして過去に戻るという方法がなくてもその時々の気づきで未来が変わるかもしれないという希望を与えて、私の考えを変えた一冊です。
 

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