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新 潟 県 立 図 書 館 報

第25号
平成14年1月30日

所蔵絵図紹介 不知親難所・駒返難所

新潟県立図書館の利用概況

県立図書館と市町村立図書館との比較

インフォメーション 新潟出版文化賞

南山図書館訪問記


 
所蔵絵図紹介 不知親難所・駒返難所

 不知親難所五百三十五間・駒返難所四百間
    作者不明 江戸時代成立 同図部分大きさ 21×35p 
                           (
当館請求記号 NM233−O95)

 越中境から青海川(現柏崎市)までの海岸部分を描いた無題の絵図の最後に付されたもので、海上から眺めた海岸部の景観図である。
 本図には「百間一分ノ積ニテ縮図」とあり、100間(約180m)を1分(約3o)すなわち1/6000に縮尺している。御領分として高田藩領が示されていることから、同藩または藩内に住む人物が作成したものだろう。名立の部分に宝暦元年(1751)の高田地震に伴って生じた名立崩れの様子が明瞭に描かれているため、この少し後に測量された図と思われる。
 さて、「不知親難所」と記されているのは、旧北陸街道最大の難所といわれた西頸城郡青海町の市振と外波の間約7qの親不知のことで、その内1q弱にわたる同所の様子が描かれている。
 また約700mの部分を描いた「駒返難所」は同町歌と青海の間の子不知の一部を指し、芭蕉の『奥の細道』にも「親しらず子しらず、犬もどり、駒返し」と記されている。駒返は木曽義仲が都へ攻め上る時道が悪く駒を返した、あるいは聖徳太子が廻国の際ここから駒と馬子を都へ返したという話がある。


グラフで見る新潟県立図書館の利用概況(平成13年)

 平成13年の図書館利用の概況です。
 平成4年の新館開館以来、利用は順調に増加してきましたが、10年目に入った今回、機関貸出以外の数値で減少を見せています。
 その一方で、平成12年4月から本格運用を開始した、インターネットの利用は着実に伸びています。
 アクセス件数は、平成13年に入って、5000件を越える月が出てきており、資料検索も平成13年5月以降、9月を除いて、毎月3000件を上回っています。
 情報化社会の到来がいわれているなか、図書館利用の方法も多様化してきているといえそうです。

1.利用総数の推移

2.月別一日平均入館者数

(*蔵書点検の時期を平成13年より4月から6月へ変更しました)

3.貸出人数・冊数の推移           

  4.年代別利用状況

.分類別貸出状況                          

6.図書館等への貸出状況の推移

7.月別インターネット利用状況


県立図書館と市町村立図書館との比較

 平成13年12月末現在、新潟県内の公立図書館設置市町村数は、岩船広域図書館を除いて市は20市中17(85%) 、町村は91自治体中24(26%)です。 新潟県の場合、市立図書館の設置率は47都道府県中最下位でしたが、平成12年11月に豊栄市立図書館が開館したことにより下から2番目となりました。これに村上市の岩船広域図書館を加えますと設置率は90%に上がるため、順位はもう少し上位となります。また町村については平成13年1月、黒埼町が新潟市と合併し1つ減少しましたが、8月に潟東村に図書館開館し、設置数の増減はありません。
 以下『新潟県の図書館』2001(新潟県立図書館 2001年刊)に示された平成12年度の統計に基づき、県立図書館と市町村立図書館の蔵書構成・分類別の利用状況について見てみます。

蔵書構成
 県立図書館と県内市町村図書館の蔵書総計を平成13年3月31日現在のそれぞれの分類別統計によりますと下記のようになっております。

平成12年度末蔵書冊数

図 書 館 名


総記


哲学

  2
 歴史
  3
 社会
  4
 自然
  5
 技術
  6
 産業
  7
 芸術
 8
 語学
  9
 文学

市 町 村 計

242,556

122,026

366,646

426,096

266,725

240,603

113,814

488,621

63,298

1,845,663

4,225,545

(%)

5.7%

2.9%

8.7%

10.1%

6.3%

5.7%

2.7%

11.6%

1.5%

43.7%

100.0%

新 潟 県 立

82,902

31,780

74,519

122,796

40,532

32,431

35,006

36,404

8,637

95,673

560,680

(%)

14.8%

5.7%

13.3%

21.9%

7.2%

5.8%

6.2%

6.5%

1.5%

17.1%

100.0%

 平成12年度決算で県立図書館の資料購入費を見ますと7500万円(内図書費は 県立図書館・新潟市立沼垂図書館・長岡市立中央図書館5700万円)で、1億円近くある新潟市、長岡市の資料費に比べて見劣りがします。しかし両市とも分館があり、別表に示したように中央館の資料費としては、それほどあるわけではありません。県立図書書館と比べますと資料費に対する受入れ冊数が多く平均単価が低いことが分かります。
 年間の分類別受入れ冊数を、新潟市立沼垂図書館および長岡市立中央図書館との比較で見てみますと表のようになり、県立図書館と市立図書館の蔵書構成の差がはっきりとします。なお注意しなければならないのは、新潟市立沼垂図書館は10,947冊、長岡市立中央図書館では14,503冊と、相当量の除籍を行い、蔵書全体の新陳代謝をはかっていることです。

県立図書館・新潟市立沼垂図書館・長岡市立中央図書館
購入図書平均単価 平成12年度

図 書 館 名

購入決算額

購入冊数

平均単価

 新潟県立図書館

57,030,441円

11,516冊

4,952円

 新潟市立沼垂図書館

23,159,284円

 8,059冊

2,860円

 長岡市立中央図書館

48,258,265円

24,311冊

1,985円

平成12年度受入冊数

図書館名


総記


哲学


歴史


社会


自然


技術


産業


芸術


語学


文学

新潟市立沼垂

819

325

936

1,238

705

1,009

329

1,142

168

8,617

15,288

(%)

5.4%

2.1%

6.1%

8.1%

4.6%

6.6%

2.2%

7.5%

1.1%

56.4%

100.0%

長岡市立中央

1,416

699

2,089

3,182

1,901

2,491

929

4,173

415

8,354

25,649

(%)

5.5%

2.7%

8.1%

12.4%

7.4%

9.7%

3.6%

16.3%

1.6%

32.6%

100.0%

新潟県立

1,462

846

2,540

4,745

1,179

1,389

1,089

1,446

316

2,444

17,456

(%)

8.4%

4.8%

14.6%

27.2%

6.8%

8.0%

6.2%

8.3%

1.8%

14.0%

100.0%

分類別受入状況

利用状況
 次に受入れ状況と同様に個人貸出について新潟市立沼垂図書館・長岡市立中央図書館両館との比較で分類別に見てみますと、次のようになります。

平成12年度個人貸出利用状況

図書館名


総記


哲学


歴史


社会


自然


技術


産業


芸術


語学


文学

新潟市立沼垂

9,857

6,422

15,980

18,918

13,128

27,507

7,151

21,733

3,293

214,019

338,008

(%)

2.9%

1.9%

4.7%

5.6%

3.9%

8.1%

2.1%

6.4%

1.0%

63.3%

100.0%

長岡市立中央 

42,982

18,511

49,456

49,572

39,516

79,141

20,036

151,481

8,149

256,480

715,324

(%)

6.0%

2.6%

6.9%

6.9%

5.5%

11.1%

2.8%

21.2%

1.1%

35.9%

100.0%

新潟県立

7,043

8,333

18,135

38,013

17,676

20,067

8,866

22,474

4,739

44,474

189,820

(%)

3.7%

4.4%

9.6%

20.0%

9.3%

10.6%

4.7%

11.8%

2.5%

23.4%

100.0%

分類別個人貸出利用状況

 新潟県内における図書館活動の一層の充実を図り、県民へのサービスを向上させることを目的として平成元年に「新潟県図書館・公民館ネットワーク整備実施要綱」を制定しました。この要綱は、新潟県立図書館と市町村図書館及び公民館の役割分担を明確にし、それぞれの役割に基づいて相互協力を行うこととしております。これにより市町村立図書館には例えば児童書や軽読書用の資料を収集いただいております。これに対して県立では比較的に専門的高度な資料を収集し、調査相談業務に重きをおいた運営を行っております。これが購入図書の単価にも反映しているわけです。
 蔵書および個人貸出の分類別の内容について比較しましたが、県立図書館と市町村立図書館とでは収集する資料に相違があり、その利用目的に応じて図書館をご利用くださるよう、お願いします。


インフォメーション 新潟出版文化賞

 「新潟出版文化賞」は、2年に1度新潟県民文化祭のなかで催される賞で、今回で2回目をむかえました。この賞は、県内の自費出版図書に光を当て広く紹介することを目的として、文芸部門と記録誌部門に分けて募集されたものです。対象となるのは、県内在住者の執筆したものであること、著者が全額あるいは一部負担した自費出版物であること、などの要件を満たした図書で、最優秀作品には大賞が贈られるというものです。
 今回は応募作品の145点のうち、大賞1点、優秀賞3点、部門賞13点が選考されました。
文芸・記録誌の両部門で「地域の文化振興に寄与しているか」また、「自費出版ならではの質があるか」「独創性に富んでいるか」といった選考基準に基づき、作家の新井満氏を選考委員長に、7人の選考委員の方々により選ばれました。
 11月24日には、県立生涯学習推進センターを会場に記念フォーラムが開かれ、受賞者の表彰式のほか、自費出版図書館長の伊藤晋氏による「自費出版図書の魅力」の講演や、「多彩な県内出版図書〜地域へのまなざし〜」というテーマでのシンポジウムも行われました。
 これら「新潟出版文化賞」の応募作品は、会期を3回に分け、平成14年2月17日まで、新潟県立図書館エントランスホールで展示しています。

作品展の予定は以下の通りです。

 第2回新潟出版文化賞応募作品展
1. 期日(第1期〜第3期)
   平成13年12月11日〜平成14年2月17日
2. 会場
   新潟県立図書館  エントランスホール展示コーナー
3. 展示資料
   第2回新潟出版文化賞応募作品

  また、館内には新たに「新潟出版文化賞コーナー」として、第1、2回の受賞作品と応募作品を集めたコーナーを設けました。展示が終了したものから順次、閲覧室の雑誌コーナ隣の「出版文化賞コーナー」に並べられます。

 なお、新潟県関係の郷土資料のため館内での閲覧のみとなりますが、このなかの一部は一般資料にもあり貸出ができます。詳しくはカウンターでお尋ねください。

 第2回新潟出版文化賞の受賞作品をご紹介します。
(新潟県民文化祭実行委員会作成のパンフレットによる。)

大賞 
光と風 野につむぐー連譜 新聞にみる新潟女性史年表 (新潟女性史クラブ・新潟市) 

 明治期からの新聞を丹念に調べあげた貴重な新潟県の女性史。足かけ15年をかけた労作で、新潟の女性たちの姿を自らの視点で浮き彫りにしている。 

優秀賞
四季・花だより (五十川 庚平・川西町)
 
 四季折々の草花を繊細に描いた水彩画とエッセーによる画文集。草花や周囲の人々に対する著者の愛情あふれるまなざしと、著者の人柄が絵と行間ににじみ出ている。
 父への手紙 ー絆はるかにー (篠原 きく・柏崎市) 
 
幼少期の体験を基にした私小説と施設に入所した実父への返事のこない片道書簡。著者自身の半生を冷静に振り返りまとめあげており、情感にあふれている。
 小川聞き書き帳 (小川聞き書き帳委員会・相川町) 
 小さな集落の生活の歴史を、若者グループがお年寄りからの聞き書きにより記録したユニークな手法は地域史づくりの新しい息吹が感じられる。

 文芸部門賞 
波の花 (島倉 みつる・真野町) 

 佐渡の風情を詠んだ句集。荒波や冬の厳しさ、歴史の変転にもまれながら、豊かな心を育んでいこうとする佐渡の人ならではの作品。
良寛・貞心尼の仮名を読む (梅津 昇・新潟市)
  難解といわれる良寛と貞心尼の仮名を一つ一つ根気よく解読した労作。本書により、誰にでも良寛、貞心尼の書を味わうことができる。
キッチンの小窓 (朝倉 安都子・新潟市) 
 著者の第二詩集。一人の人間としての、あるいは母親としての日常をやさしいことばで描いている。
キヨばあちゃんのこどものころ (すだのりこ・小千谷市)
 おばあちゃんの語り口による文と切り絵から成る絵本。昔の田舎の暮らしぶりが絵本の中に見え、温かみがある。
窓の外は青 (月乃 光司・新潟市)
 アルコール中毒から立ち直った実体験を描いた自伝小説。暗くなりがちな内容を挿絵(著者作)とともに、非常にユーモラスに描き一気に読ませる。
とも子と共に (小田 京子・新発田市)
 重い障害をもつ子・ともこさんとの半生を綴ったエッセー。自分の言葉と心で書かれており、行間から著者の前向きな姿がうかがえる。
海鳥の夢 (横山 千鶴子・三条市)
 著者ならではの独創性に富む歌集 。タイトルの「海鳥の夢」には少女期を過ごした佐渡の風景が重なり、鋭い言語感覚で読者の共感を呼ぶ。

記録誌部門賞
もう一度望みが叶うなら (渡辺 泉・吉川町)

 義母を介護する日々の感情の起伏を書いたもの。義母と自分を素直にみつめ、ユーモアを交えまとめた一冊。
越後下田の昔話 (下田の昔話刊行会・下田村)
 消え行く昔話を地域のお年寄りから聞き出し、語り口調を大切にして記述した昔話集。小学校の総合学習が契機となった。
幕末維新の港町と商品流通ー新潟港近代の歩み (中村 義隆・新潟市)
 豊富な史料を基に幕末から明治への「港町・新潟」を分析し、分かりやすく描いた記録誌。資料的価値も高い。
柏崎刈羽文学散歩 (巻口 省三・刈羽村)
 柏崎刈羽にゆかりの作品や文学者を丹念に掘り起こし紹介した文学散歩。ふるさとへの愛着と文学に対する熱い思いが感じられる。
こころの文化財 長栄山西永寺 そのあゆみと可能性(西永寺再建百五十年記念事業実行委員会・川西町)
 一つの寺の故事来歴や地域とのかかわり、建築手法などを多面的に解き明かした一冊。地域に愛された寺だからこそ生まれた書。
銀行破たんー新潟中央銀行はこうして消えたー (中村 一夫・新井市) 
 元支店長の著者が、破たんするまでの経緯を記録した興味深い本。行員の解雇や取引企業の倒産を招いた中央銀行への無念さが伺える。文化賞の受賞作品をご紹介します。

 今回ご紹介したのは、応募作品のうちのごく一部です。いずれも、自然豊かな風土、厳しい気候から生み出された、新潟ならではの暖かみのある作品ばかりです。「新潟出版文化賞コーナー」を設けたことにより、多くの県民の皆様に関心をもって見ていただくことができたらと思います。


南山図書館訪問記

 平成13年春、韓国の新潟県ソウル事務所を通してソウル特別市の南山図書館が当館と友好提携を結びたい旨の申込みがあった。
 これを受けて提携に先立ち、相手方の意向ならびに施設等を知るため、急遽訪問することとなった。11月19日(月)、新潟空港を出発。メンバーは副館長藤田茂治、企画協力課長鶴巻武則および県生涯学習推進課図書館担当の社会教育主事佐藤真佐人の3名。昼過ぎ、仁川国際空港に到着。南山図書館安七憲文化活動支援課長、田中県ソウル事務所長ならびに今回の話について仲介の労をとられた李英  先生の3名が出迎えてくださった。
 その足で早速、ソウル特別市教育委員会の教育監(公選制で日本の教育長に相当)ならびに南山図書館を直接所管する教育政策局長を表敬訪問した。ソウル特別市には図書館17、平生学習館4の施設がある。平生とは生涯と同じような意味合いに用いられ、平生学習館は図書館と同等の施設であるという。11月20日(火)、南山図書館を訪問し、先ず黄樂絃館長以下に表敬の挨拶を行い、図書館の概略について説明を受けた。

 明治43年(1910)の日本による併合以降、朝鮮総督府が統治し、大正11年(1922)京城府立図書館として開館した。これが南山図書館の始まりで、太平洋戦争後南大門図書館となり、1965年、現在地に新築移転、改称した。韓国の図書館には日本の公民館と同じような業務もあり、いくつかの講座を開催し、学習のための部屋(閲覧室)も備わっている。それが先の平生学習館というネーミングにも表れている。
 この後、館内を見学して回った。5階建てで、語学文学、人文社会科学、自然科学と本の分野によって部屋が分かれる主題別を採用している。部屋によっては休室し、蔵書点検を実施中であった。逐次刊行物の部屋には朝鮮総督府時代の官報が第1号から昭和20年(1945)の初めまできれいに揃っていた。また書庫には当時の日本語の本も相当有り、カードや冊子目録で内容を知ることができる。

  なんといっても圧巻はコンピュータ端末の部屋でインターネットなどを自由に見れる機器が何十台もあり、学生を中心とした利用者で満杯であった。
 食堂には専門の調理人もおり、大勢の人達が利用していた。ここでの昼食会の後、夕方まで、両館の間でどのような提携が可能かの話し合いを行った。南山図書館の黄館長からは、情報交換、人的交流が考えられるが、相互に負担とならないように予算の範囲内で交流し、徐々に友好関係を積み重ねていきたい旨の提案があった。
 新潟県立図書館としても交流が一過性ではなく、継続させていくためには、予算の範囲内でできることが原則という姿勢には賛成の旨、返答をした。
 当面の予定として平成14年(2002)春に、南山図書館側が新潟を表敬訪問するということ。10月には南山図書館が創立80周年となるので、その際に再度、新潟県立図書館側がソウルへ赴き、記念行事に参加すること等が確認された。
 この夜は南山図書館による歓迎会が催され、翌11月21日(水)帰国の途についた。
                                                                            (鶴巻記)



新潟県立図書館
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